屋根の漆喰メンテナンス完全ガイド|劣化症状から費用相場まで徹底解説


瓦屋根のお住まいで、屋根から白い塊が落ちてきたり、棟部分の白い部分にひび割れや黒ずみを見つけたことはありませんか?
それは屋根の「漆喰(しっくい)」が劣化しているサインかもしれません。
瓦自体は50年以上の耐久性を誇りますが、漆喰の寿命は10~20年程度と意外に短く、定期的なメンテナンスが必要です。
この記事では、屋根の漆喰メンテナンスについて、劣化症状の見分け方から費用相場、業者選びのポイントまで詳しく解説します。
漆喰はなんのために詰められている?


漆喰とは、瓦屋根の頂部にあたる「棟(むね)」部分に詰めてある白い建材です。
まずは漆喰が建物のどんな役割を担っているか見ていきましょう。
葺き土の保護
棟瓦の下には「葺き土(ふきつち)」という粘土層があり、瓦を固定する重要な役割を担っています。
漆喰はこの葺き土を雨風から守る保護層として機能します。
漆喰が劣化すると葺き土が流出し、棟全体の強度が低下してしまいます。
雨水の浸入防止
棟瓦と平瓦の間には半月状の隙間(面戸)ができます。
この隙間から雨水が浸入すると、屋根下地や建物内部に水が回り、雨漏りの原因となります。
漆喰はこの隙間を埋めて防水する役割を果たしています。
瓦の固定と美観の維持
漆喰は瓦同士を接着し、棟を真っ直ぐに保つ役割もあります。
また、白く美しい漆喰は瓦屋根の景観を引き立て、建物全体の美観を向上させます。
さらに、隙間を塞ぐことでネズミやスズメなどの小動物が屋根裏に侵入するのを防ぐ効果もあります。
漆喰の寿命と劣化の原因


漆喰の一般的な寿命は10年~20年程度とされています。
瓦自体は約50年~100年もつため、瓦屋根のお住まいでは「瓦は問題ないが漆喰だけメンテナンスが必要」というタイミングが定期的に訪れます。
ここでは漆喰の劣化症状について詳しく解説します。
環境によって劣化スピードは早くなる
漆喰はお住まいの環境条件によって劣化速度は大きく変わります。
特に以下のような条件下では劣化が早まる傾向があります。
- 風雨にさらされやすい立地
- 直射日光が強く当たる南面
- 寒暖差が激しい地域
- 寒冷地(凍害のリスク)
- 台風や地震などの自然災害の影響
漆喰が劣化する主な原因
漆喰は以下のような原因によって劣化が起こります。
経年劣化
漆喰は空気中の水分を吸収・放出する性質(調湿作用)を持っています。
この乾燥と湿潤を繰り返すうちに、徐々に素材が劣化していきます。
特に消石灰が主成分であるため、長期間の風雨や紫外線の影響を受けやすい特徴があります。
自然災害の影響
台風による強風や地震の揺れは、漆喰に大きなダメージを与えます。
特に棟部分は建物の最も高い位置にあり、風の影響を受けやすいため、自然災害後は点検をおすすめします。
施工不良
漆喰の厚みが適切でない場合や、下地処理が不十分な場合、通常よりも早く劣化することがあります。
特に厚く塗りすぎた漆喰は、雨水が当たる面積が増えるため劣化が早まります。
漆喰の劣化症状


漆喰は早期発見・早期対処がメンテナンス費用を抑えるポイントです。
以下のような症状が発生していることが分かった場合、できるだけ早めのメンテナンスをおすすめします。
ひび割れ
漆喰は10年程度経過すると表面に細かいひび割れが発生しやすくなります。
空気中の水分の吸収・放出や、建物の微振動、乾燥収縮などが原因です。
軽微なひび割れの段階では、すぐに補修が必要というわけではありません。
漆喰は内側の葺き土を守るバリアの役割を持っており、ひび割れがあっても葺き土が健全であれば、防水機能は維持されています。
ただし、近い内メンテナンスは必要となるので、定期的な経過観察を行いましょう。
黒ずみ・変色
漆喰の多孔質な表面に汚れや微生物が付着することで白かった漆喰が黒ずんだり、コケが発生したりします。
黒ずみ自体はすぐに機能的な問題を引き起こしませんが、劣化が進行しているサインです。
この段階で専門業者に点検を依頼し、補修の必要性を判断してもらうことをおすすめします。
欠損・剥がれ
漆喰が部分的に欠けたり、塊となって剥がれ落ちたりします。
屋根の下や庭先で白い塊を見つけた場合、それは剥がれた漆喰である可能性が高いです。
漆喰が剥がれると葺き土が露出し、雨水で流出してしまう恐れがあるため、早急な補修が必要です。
葺き土が失われると瓦がズレたり、棟が歪んだりする危険性が高まります。
棟の歪み・瓦のズレ
漆喰の劣化が進行して内部の葺き土まで流出すると、棟全体が歪んだり、瓦がズレたりします。
この場合は漆喰の詰め直しだけでなく、棟瓦の積み直しなど大規模な補修が必要になります。
放置すると雨漏りのリスクが高まり、最悪の場合は棟が崩壊する可能性もあります。
漆喰メンテナンスの方法と費用相場


漆喰のメンテナンス方法は主に「漆喰詰め直し工事」または「棟瓦積み直し工事」が提案されます。
それぞれの違いについて詳しく紹介します。
漆喰詰め直し工事
漆喰の剥がれや欠損が比較的軽微で、棟の歪みが見られない場合に行われる基本的な補修方法です。
既存の漆喰を撤去し、新しい漆喰を詰め直します。
工期は約1~3日です。
費用は「棟の長さ(メートル単価)」で計算され、相場は約3,000~7,000円/m。
一般的な大きさのお住まいで約5~15万円ほどです。
なお、別途足場が必要になる場合は足場費用(約15~20万円)がかかります。
棟瓦積み直し工事
漆喰の劣化が進行し、葺き土が流出して棟に歪みが生じている場合、瓦のズレが見られる場合は棟瓦積み直し工事を行います。
既存の棟瓦を一旦撤去し、まっすぐになるよう積み直して漆喰も詰め直します。
工期は通常、1~4日です。
費用相場は一般的な大きさのお住まいの場合、足場代を含めて約40~60万円程です。
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昔ながらの瓦屋根は定期的に適切なメンテナンスを行えば、100年以上もつと言われています。
大切な住まいを長持ちさせるため、新築や前回のメンテナンスから10年経ったら業者に点検を依頼されることをおすすめします。
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